「整体ってポキポキ骨を鳴らすの?」
いまだによく聞かれる質問です。
確かに20年前ぐらいは鳴らしている整体師も沢山いました。テレビ番組で面白おかしくポキポキと豪快に音をたてて整体をしている姿をみてポキポキすれば良くなるという勘違いを作ってしまったんですね。多くの整体やカイロプラクティックでポキポキをやり始め、ポキポキをしないと整体ではないというイメージが生まれたんです。
そもそもなぜポキポキとするのか?実は整体やカイロプラクティックには「スラスト法」という関節をある一定の方向に急激に傾ける手法があります。この時にポキポキと音が鳴ることがあるのです。音が鳴る鳴らないは治療には関係ないのですが、いつの間にかポキポキだけが一人歩きしたのです。
その結果、知識もないのに身体をひねりポキポキという音を豪快にならすパフォーマンスだけが残ったのです。
自分で背中や首の骨をポキポキと鳴らすと気持ちが良いしすっきりするという人がいますが、それは事実です。おそらく習慣的に鳴らすことで気持ちいいと思い込んでいるのでしょう。自分でポキポキとして怪我をしたり病気になることはまずありませんので問題はありませんが、問題なのは人がする時なのです。自分でするポキポキと人がするポキポキの違いは力加減と角度です。自分でする時には痛くなく負担のかからない力と角度でポキポキしますが、それは人それぞれ違うので人にポキポキをされると不快感を覚えるのです。自分でするから気持ちが良いのであって、ましてや自分でもしたことがないのに人にされると恐怖と痛み以外ありませんので。ポキポキをする整体師は知識がないのに今まで事故が起きていないのでこれからも大丈夫だろうと自負をし根拠のないポキポキを続けているのです。利用者の痛みなど無視をし自分がするポキポキは痛いはずがないと勝手に勘違いをしています。ポキポキされたほうは痛い言っているのに取り合わない。だからポキポキ事故が絶えないのです。
現在首都圏では今でも約3割の店舗はポキポキ治療をしています。なぜいまだに継続して身体に害になるポキポキをしているのか理解に苦しみますが、おそらくはポキポキ以外に治療方法を知らないのでしょう。アンケートでは60歳以下の先生でポキポキをしているのは首都圏ではごく稀で、ほとんどが60歳以上の整体師です。60歳以上の知識のないテレビの影響を受けているダメな整体師がポキポキをしているといえるでしょう。
先日、またもスラスト法による死者(2014年6月)が出てしまいました。報道によりますと大阪淀川区で新潟にあるNPO法人の女性整体師から首を急激に捻る行為で犠牲になりました。大変悲しい事件です。消費者センターに寄せられる年間のポキポキによる相談は約2000件です。そのほとんどがポキポキをした瞬間に違和感を覚え、徐々に痛みが増したというものです。そしてその場でそのことを整体師に伝えた人はほとんどいません。理由はいいようにいい訳されるのが怖いからということです。残念ながら2000件の内、過失が認められ賠償問題に発展したのはごくわずかです。ポキポキが原因で痛くなったのかを証明することはほとんど不可能なのが現状です。今回の死亡事故についても検察が起訴するのは難しいでしょう。
今通っている場所がポキポキをするのであれば、注意が必要です。そして初めて行く場所であれば、ポキポキしないことを必ず確認してください。何も知らずに行き、施術が始まれば整体師の言いなりになるしかありません。途中ででやめてくださいとは言えませんしそのような雰囲気でもありませんので。
最近では多くの整体院のホームページで「ポキポキしません」と表示していまが、「ポキポキします」と表示している整体院は皆無です。ポキポキがいかに有害か認知されてきて治療する方もされる方も何が正しいか理解してきた証拠だと思います。
矯正にとって有効手段のスラスト法もマイナス面が多いことと、無資格の知識のない整体師が行うことが問題なのです。二度と同じ様なことが繰り返されないように、厚生労働省が禁止事項としているスラスト法に罰則を加える必要がありそうです。
ポキポキは音がすることが問題なのではなく、鳴らし方に問題があるということです。